IT初心者

プリセールスの手引き 機器更改で押さえるべきポイント3選

初心者エンジニア

プリセールスって難しそうなイメージがあるけど、どうやって勉強していけばいいのかな?

和貴

新規提案とかは確かに経験も必要な難しさがあるけど、プリセールスで扱う機会が多い、機器更改はポイントさえ押さえれば初心者でも対応できるよ。

機器更改とは

機器更改とはプリセールスでよく扱う案件の1つになります。
その名の通り、現在導入している機器を新しい機器に入れ替える案件になります。

機器更改をする理由は主に2点です。

・機器がEoSLを迎える
・現在の機器性能に不満がある

機器がEoSLを迎える

EoSL(End of Service Life)とは機器のサポート期限のことです。
この期限を迎えると、機器が故障しても調査やパーツ交換が不可となります。

そのため基本的にはEoSLを迎える前に機器を更改する案件が始まります。

EoSLはメーカーにて公開されている情報なので、誰でも調べることが可能です。
そのため、提案活動としては顧客・SIer双方から要望・提案することがあります。

現在の機器性能に不満がある

まれにEoSLに関わらず、機器性能の不満で機器更改を要望されることがあります。

性能不満といっても理由はさまざまですが、想定していた以上に機器を利用するため、スペックの高い機器を導入したり、NW機器であればポート数を拡張したりといった理由が挙げられます。

こちらは大抵顧客からの要望として挙がってくる案件となりますので、エンジニア側から主導して提案する機会は少ない案件となります。

顧客側も端的な要望で、自身の意図を汲み取ってくれることを望むため、顧客のNW環境を理解できているエンジニアが対応する場合が多いです。

機器更改で押さえるべきポイント

機器更改を行う際には下記の点に気を付けて提案を進めましょう。

・機器のスペックが変わらないか
・提案機器のEoSL
・ライセンス

機器のスペックが変わらないか

更改の際によっぽどのことがない限り、機器のスペックは落とさないのが定石です。
NW機器であれば新旧機器で下記の比較は実施しましょう。

比較ポイント

・ポート数・ポート規格
・合計スループット
・消費電力
・機器サイズ

ポート数・ポート規格

まず始めにポートの数と規格を確認しましょう。
現在使用しているポートがフルに使用されていない場合はポート数が減少しても問題ないです。

ただし、導入後に収容する機器を増設するなどの可能性も考えて、余裕を持ったポート数で想定しておくことをお勧めします。

また、ポートの数が同じでも、速度が違うなど、規格の違いには気を付けましょう。
RJ-45なら、1Gか10Gか、SFPポートがあるのであれば、SFPかSFP+なのか。

SFPであればどのSFPを購入するのかも気にしないといけないため、ポート数・規格情報の精査は始めに実施するようにしましょう。

合計スループット

次にスループットの確認を行いましょう。
スループットとは単位時間あたりに処理できるデータ量のことです。
ポートごとにも測れますが、ここでは機器全体のデータ処理量のことを表します。

ちなみに勘違いしがちですが、10Gのポートを24個備えているスイッチでも、合計スループットが240Gを下回ることは多々あります。

ですので提案の際は、実際のスループットと過去の機器のスペックを考慮した上で、新しい機器の選定を行う必要があります。

消費電力

消費電力はボックスサイズの機器であれば大きく気にする必要はありません。
基本的に過去の機器の消費電力を下回るようであれば無条件でOKです。

一応気にするポイントとしては、顧客のラック内電源容量が足りない場合などを考慮して、伝えておくべきポイントではあるからです。

ただ、大規模なデータセンター等でなければ、大抵電源容量に余裕は持たせてあるはずです。ここは選定するというよりも、他の項目で選定した機器の消費電力はこうでした、という結果のみ伝えられればOKです。

機器サイズ

機器サイズは旧機器と比較して変わらないか小さければOKです。

ハブボックスに入れるとき以外は、奥行きが足りなくなることは基本的にはないので気にしなくていいです。

ただ、厚み(U数)はラックのスペースに空きがあるかで搭載可否が変わりますので、更改する機器のU数が変更になる場合は事前に顧客に問題ないか確認を取るようにしましょう。

提案機器のEoSL

提案機器のEoSLが近くないか確認することも提案時に大事なポイントです。

機種によっては、旧機器の後継機と言われてはいるものの、1,2年後にはEoSLを迎えるというパターンもあります。

NW機器のライフサイクルは全体的に早いので、このポイントを軽視すると、提案してもすぐにEoSLを迎えて、再度更改提案をすることになります。
顧客からすると、この前購入したばかりなのに騙したのかという気持ちになりますよね。

EoSL情報が出ていない機器でも、発表からどれくらい時間経過した機器なのか、意識して探すことをお勧めします。
他にも発売されたばかりのサポートが長そうな機器はないかなど、提案の幅を広げるのもいいですね。

ライセンス

最後に機器を利用するのに必要なライセンスを調査しましょう。

ライセンスに関してはメーカーによって形態が変化しますので、多様なメーカーで提案する際は比較材料として大きなポイントになります

ex.
・CiscoでBGPを利用したい場合:
基本ライセンスであるEssentialよりも1段階高いAdvantageライセンスを購入する必要がある。BGPを利用しない場合でもEssentialライセンスは必要。

・Apresiaの場合でL2機能だけ利用する場合:
ライセンス購入が不要。L3でダイナミック等の機能を利用する場合のみライセンス必要。

このようにメーカーによって、そもそもライセンスの有無や、ライセンスレベルの違いがさまざまあります。ライセンスによって数十万から数百万単位で金額が変化することも考えられます。

後々使えませんでしたという話になると、かなり大きな金額の交渉が必要となるため、ここは提案時にはしっかりと調べておきましょう。

まとめ

提案活動はお金になるかわからない活動のため、簡単に済まされる場合もあります。
しかし、上記のようなポイントを考慮せずに提案してしまうと、契約と違うという話で最悪訴訟にまで発展してしまう可能性のある大事な活動になります。

先輩エンジニアは経験則に基づいてさらっと提案資料を作成していますが、初心者のうちはポイントを押さえて提案をしないと取り返しのつかない事態に発展する可能性もあります。

そのような事態を起こさないためにも、今回紹介したポイントをしっかり押さえて提案のレベルを上げていきましょう。