現場でプリセールスって聞くけど、具体的に何をやっているのかわからないな?急に自分がやれって言われたら不安だな…
プリセールスが具体的にどういった内容の活動をしているか経験がないと不安だよね。実際に僕がやっているプリセールスの事例を紹介するから参考にしてみてね。
目次
プリセールスとは
プリセールスとは、販売前に実施する製品・サービスの提案活動のことです。
提案活動というと、営業の仕事と思っている人が多いです。
ただIT業界においては、エンジニアも関わる大事なプロセスになります。
例えばプリセールスでは、提案するサービス・製品によって、相手のニーズが実現可能かなどを事前に判断するプロセスがあります。
ここを営業だけで実施すると、実際案件を受注した後に、事前に聞いていた要望が叶えられないということが発生します。
ここまで来ると、営業側だけで説明とはならず、エンジニアも交えて、なぜ技術的に要望が叶えられないのか、代替案はないのかといった業務が発生します。
そうならないためにも、プリセールスはエンジニアが責任を持って顧客のニーズの実現可否を判断する必要があります。
ITインフラ構築プロセスから見たプリセールス
プリセールスはITインフラ構築プロセスの中でも、一番はじめに実施するものです。
ただ、そのなかで要件定義や基本設計に該当するプロセスも実施します。
要件定義というと、顧客によって実施されるフェーズと思う方も多いと思います。
ただ、実際に要件定義といっても、顧客から正式な文書が提出されることはほとんどありません。
例えば、下記は私が実際に顧客から頂いたメールです。
〇〇様
いつもお世話になっております。
××です。
今後弊社内でWi-Fi環境を構築する話があるのですが、良い製品を見繕っていただけますでしょうか。
このような感じで、Wi-Fiを導入したいという要望だけは汲み取れますが、Wi-Fiの中でもどこまでのスペックが必要で、認証等はどうしていきたいか(それも別製品を新規に入れたいのか既存の環境を利用したいのか)などなど、詳細な要望を詰めていく必要があります。
ですので、要件定義は顧客の要望を聞いて、こちらで推しはかったり、提案したりする最中に固まるものだと認識しましょう。
具体的な活動例
ここまでで、プリセールスの意味と要件定義などの必要な工程について紹介しました。
ではそれらをもっと細かくしてプリセールス活動の具体例を見ていきましょう。
要件の洗い出し(顧客ヒアリング)
まずは顧客の要望を詳細にヒアリングする活動があります。
先ほど例を挙げたように、顧客の要望はかなり大雑把に上がってきます。
先ほどのWi-Fiの例をもとに再度要件洗い出しをしてみましょう
社内環境にWi-Fiを構築したい
・台数としてはどれくらい必要?(フロアの大きさやAPの配置場所は?)
・提供してほしい機能はWi-Fiだけ?
(認証機器や端末管理用サーバなどは不要?)
・Wi-FiはフリーWi-Fiも必要?社内接続だけ?
・Wi-Fi6など、新しい規格に対応が必要?
・スループットはどれくらいを求める?
etc.
このようにWi-Fiといってもやれる範囲や検討しないといけない要素がたくさんあります。
次の機器選定を実施するためにも、これらの要望は事前にヒアリングする必要があります。
機器選定
上記で要件をヒアリングしたあとは実際に実現できる機器を選定します。
選定の方法ですが、いくつか方法があります。
・インターネットで検索:
ブラウザからメーカーサイトやベンダーサイトにアクセスし、機器の情報やスペックを調査します。
・社内主幹部署への確認
SIerなどであれば、社内にさまざまなメーカーの専任部署が存在します。
そちらへ確認をとりながら、機器の選定を実施します。
場合によっては、それらの部署から追加で顧客にヒアリングすべき項目を教えてもらえることもあります。
・メーカーへの確認
ある程度機器を提供しているメーカーに心当たりがある場合は、直接メーカーの営業へ連絡することも可能です。
こちらも主幹部署への確認と同様に、要件に沿って機器の選定や、追加で顧客にヒアリングすべき情報の提供を行ってもらうことが可能です。
想定作業の洗い出し
機器の選定が完了したら、その機器を導入するために必要な作業項目を洗い出します。
新規機器であれば、大抵下記の項目にかかる作業を検討しましょう。
- ・基本設計
- ・詳細設計
- ・試験仕様書作成
- ・キッティング・動作検証
- ・作業手順書作成
- ・現地作業
- ・その他(ドキュメント整理やプロジェクト管理など)
上記に加えて導入する機器以外に、周辺機器への設定変更が必要な場合は、それらの洗い出しを実施します。ここでは取り急ぎ、対象となる機器が何台あるかを算出する作業が必要です。
周辺機器の設定変更も含めて、この作業で顧客の要望が実現できるかの裏取りは必ず行っておきましょう。事前の予防として下記の対策が可能です。
・メーカーへの確認(こちらがベスト、場合によっては断られるかも…)
・他の社内エンジニアへの確認
作業見積もり
作業項目の洗い出しを実施したあとは、それらにかかる工数を算出する作業になります。
この辺りは案件によってかかる工数にばらつきがあります。
基本的には過去の経験をもとに算出します。
初心者の方はそもそも経験が少ないでしょうから、下記のポイントを押さえておきながら、不明点は先輩にしっかり聞きながら対応しましょう。
①想定する作業項目に漏れがないか
②作業時間が想定しているだけで足りるか
③想定する作業項目の認識が顧客とあっているか(前提条件に自信の認識を記載しているか)
③では特に、周辺機器の設定変更も含めて、どこまでが自社対応で、どこまでが顧客対応なのか、作業範疇の線引きはしっかりと決めておきましょう。
まとめ
プリセールスはお金になるか不明な状態での業務なので、会社によっては流れ作業で数をこなすという所もあります。
ただ、一度提案したからには、実現可否や金銭に責任を持つ必要がある大事な活動になります。ざっくりした提案をして、実際に受注したときに詳細が全然詰めきれていなかった案件というのはたくさんあります。
エンジニアとしては、その案件が受注できるかできないかを気にするよりも、その提案を出して本当に実現できるのかという点にしっかり着目してプリセールスを行うようにしましょう。